ススメバチの生態と習性について
スズメバチは、非常に毒性の強いハチです。7月から10月にかけて活動し、巣が最も発達する9月上旬頃から神経が過敏になり、非常に攻撃的になります。この時期に次々とオスバチが生まれ、新女王バチと交尾をするため、すべてのハチが攻撃的になるのです。スズメバチは、守衛意識が強く、巣に危害が与えられると感じたら、集団で襲ってきます。 とくに、黒いものに反応するので、髪の毛や目などが襲われやすく、その他には、急な横の動き(例えば、手で払いのけようとする動作など)や、においのきついもの(香水、濃い化粧、ジュースなど)に敏感です。大きな音や振動にも過敏に反応し、襲ってきます。
出典:日本ペストコントロール協会
スズメバチの毒性と死亡記録
ハチ毒には、ズキズキした痛みを引き起こすアミンやペプチドといった物質や、体内組織を破壊する酵素プロテアーゼといった物質を含んでいます。 ハチに二度、三度と繰り返し刺されているうちに、人によってはアレルギー反応を起こすようになります。このアレルギーのもととなる物質(アレルゲン)は、はじめはほとんどの人に反応を起こしませんが、その物質に対してアレルギーになった人には様々な症状が起こるようになります。
その症状のひとつに、アナフィラキシーショックというものがあります。 これは、ハチ刺されによる最も重い症状の事を言います。ハチに刺されたことにより息苦しくなり、意識がはっきりしなくなります。このような症状がさらに悪化すると、尿や便をもらしたり、手足に痙攣を起こしたりします。 意識がなくなり、血圧は下がり脈拍はふれにくくなりますので、一刻を争って救急処置をしなければ死んでしまいます。アナフィラキシーショックによる死亡の多くは、上気道の浮腫による窒息死です。
スズメバチを見つけたら
スズメバチに刺されて死亡する人は、年間約30人前後にものぼります。 一番古い記録としては、紀元前3000年頃、古代エジプト国王メネスが一匹のハチに刺されて死亡した、という象形文字が、その墓に記されています。
スズメバチに刺されないためには以下の点を気を守りましょう。
1.巣に近づかない
ハチは巣を守るために外敵を刺すという習性をもっているので、巣やハチに危害を加えない限りは襲ってきません。 巣の近くには警戒のためのハチが飛んでいることが多いので、そのようなところで手足の屈折や体全体を急激に動かすことは絶対にしないようにしましょう。
2.エサをとっているところには近づかない
スズメバチが好む植物に集まっているときには側に近寄らないようにしましょう。 例えば、クヌギ、コナラ、ニレなどの木の樹液、シラタマタケというまんじゅう型をしたキノコ、ブドウ、ナシ、イチジク、リンゴ、モモ、カキなどの熟した果実にはスズメバチが集まってきます。
3.服装に気をつける
黒いものはなるべく身につけないようにしましょう。できるだけ白系統のものがいいです。材質としては、スズメバチの場合、純毛性のものや毛皮などは攻撃を受けやすいといわれています。 頭を狙われやすいので、帽子などをかぶるといいでしょう。やむを得ず、巣の側に行くときには、腕や頭を露出しないよう、長袖シャツや軍手、保護帽などを着用しましょう。
スズメバチに刺されたときの症状と対策
ハチに刺されたときの症状として、激しい痛みのほか、刺された場所を中心にそのまわりだけに症状が現れる局所症状と、体中に症状が出る全身症状とがあります。全身症状はさらに二つに分けられ、即時に起こる全身症状と遅れて起こる全身症状とがあります。
軽い症状としては、顔や体がお酒を飲んだときのように赤くなり、なんとなくだるい、苦しい、といった程度のものです。 中ぐらいの症状としては、軽い症状に加えて、のどが詰まったような感じがして胸苦しくなったり、口の中がしびれたような感じがしたり、おなかがいたくなったり、下痢・吐き気・嘔吐したりします。また、頭痛、めまいがしたり、のどがぜいぜいしたり、全身がむくんできたりします。
最も重い症状としては、息苦しくなり、意識がはっきりしなくなります。このような症状がさらに悪化すると、尿や便をもらしたり、手足に痙攣を起こしたりします。 意識がなくなり、血圧は下がり脈拍はふれにくくなりますので、一刻を争って救急処置をしなければ死んでしまいます。ハチ刺されによる死亡の多くは、上気道の浮腫による窒息死です。この一番重い症状をアナフィラキシーショックといいます。
ハチに刺されたときは、次のように対応しましょう。
- 刺された場所から離れ、木陰や冷たい水の流れている沢の付近に退避しましょう。
- 毒針や毒嚢が残っている場合は、すみやかに取り除きましょう。
- 四肢を刺された場合は、心臓に近いほうを止血ゴム管などでしばりましょう。ただし数分間隔でゆるめましょう。
- 毒をしぼり出しましょう。
- 冷水で患部を冷やし、毒が体内に廻るのを抑制しましょう。
- 赤く腫れはじめたところに抗ヒスタミン剤軟こうを塗りましょう。なお腫れがひどくなるときは、副賢皮質ホルモン剤軟こうを塗りましょう。
- あらかじめ医師から抗ヒスタミン錠剤等の服用を指示されているものは、指示を受けたとおりに服用しましょう。
なお、アンモニアはハチ刺されには効果がありません。アンモニアにはハチ毒を中和する効果はなく、アンモニアを塗ることは無意味であるばかりでなく、ときにはアンモニアによる皮膚炎を起こすこともあります。 また、刺されたところから、細菌感染を起こすこともあり、汚い手で刺されたところをいじらないことはもちろん、尿をかけるなどは論外です。
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